ミニマリストはテクノロジーに依存する
〈とあるチラシの裏〉
ひと昔前までは「良いものを沢山作り、所有することは生活を豊かにする。」という考えが主流であったと思う。
それが普通であり、一つの幻想だった。
そうした幻想の中では、新しく品質の良い製品はどんどん売られる一方で、人には保有効果※1やサンクコスト効果※2といった人間特有のバイアスがかかった状態でモノを見るため捨てづらく、増えていく一方である。
(※1「自分の所有物になったものに対して、高い価値を感じて手放せなくなってしまう心理状態」のこと)
(※2 簡単に言ってしまえば、「もったいない」と感じること)
最近※では、物を持たない生き方やモノを減らす生活を是とする風潮がある。
そしてこれは新たなる幻想の始まりともいえるのではないだろうか。
(※このような流れは数年前から存在しているが近年、より顕著になっている気がする。
現に下記の様にトレンドを追ってみても、片付け→生き方と明らかに範囲が広がってきている。)
時代の流れはモノを減らす方向へ
2010年には「ときめくモノだけを残す」といった片付けの手法などを提唱した近藤麻理恵さんの『人生がときめく魔法の片付け』が流行ったし、最近では持ち物をできるだけ減らし、必要最小限の物で暮らす「ミニマリスト」が台頭してきている。
しかしこれらの流れは、なにもポッと出てきたわけではない。
科学技術が進歩し、便利で品質の良い製品に溢れ満たされた今、そのような流れになっていくことは自然だと思うし、逆にテクノロジーの向上なくしてはこのような流れは生まれなかったように思う。
テクノロジーが向上して便利な世の中になり、社会全体として一定の欲が満たされたからこそ、このような流れが生まれたのではないだろうか。
かくいう私も、2010年代初頭あたりからモノを減らす方向に進んでいた気がする。
時代の流れとはそういうものなのだろう。
ミニマリストにはテクノロジー(ネット環境)が必須
いくらモノを減らしても、「ミニマリスト」にスマートフォン or PCまたは両方といったネット環境は必要だ。
例えば、知らない土地へ行くときにいちいち紙媒体の地図を持ち歩き使っていたらそれこそミニマム(最小限)ではないので、ネットで調べることになる。
また、住む場所にもよるが車を所有するというのは全然ミニマム(最小限)ではないから移動はバスか電車が主流ということになると思う。そうすると、時刻表が必要だ。
これらは、労力のミニマライズ(最小限化)ともいえる。
がこれに限っては、人々はかねてより簡単・手軽・便利を求めてきた側面があるので、ミニマリスト特有というよりは人の性質として、過去から現在までの一環とした傾向ではないだろうか。
そして、最近では本やテレビや音楽といった娯楽までスマートフォンやPCに集約できる。ミニマリストにとって、これらを科学技術を駆使した電子機器にまとめあげ、ミニマライズしない手はないだろう。
さらに、今であれば「目新しい、ミニマリストというのはこういうものですよ」という情報を配信して広め、世の中のニーズに応えることで生活をすることもできる。
ミニマリストは何よりもネットとの相性がよいのだ。
ここからもミニマリストとテクノロジーの関係性を感じられる。
PC(スマホ)やネットの技術がない時代に必要最小限という流れが生まれなかったのも自然なことだろう。その時点である意味「最小限」だったのだと思う。
ミニマリストはテクノロジーの発展とともに生まれ、それなくしては成り立たないのだ。